DB103のKleines Modellmuseum Ep. IV

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西ドイツ国鉄 DB 急行旅客用蒸気機関車 BR 011 083-3号機 (Märklin 29740)

 

  今回は、西ドイツ国鉄の急行旅客用蒸気機関車 BR 01.10を紹介します。

 

 

 BR 01.10は戦後のDBを代表する急客用蒸気機関車です。

 

 

BR 01.10 主要諸元

 型式:2'C1 'h3、バッファ間距離:24.13m、運転重量 110.8t、軸配置 2C1、軸重:20t、動輪径 2,000mm、過熱式三気筒、出力 1,728kW、ボイラー圧力:16bar、最高速 前進 150km/h、後退 50km/h

 

 

 BR 01.10(01 1000 番台)は、DRGが必要としていたD及びFD-Zug牽引用の最高時速150km/h急行旅客用蒸気機関車で、平地において550tの列車を120km/hで、4パーミルの勾配で425tの列車を100km/hで牽引することができます。

 それまでの制式蒸機 BR 01及びBR 03は、120または130km/hですが、これ以上の高速を目指す場合、二気筒では振動が大きくなりすぎること、また、始動特性を改良するため三気筒が採用されました。

 またBR 03を用いて流線型カバーのテストにおいて、140km/h時の出力を増加させることが確認できたので、流線型カバーを装備することになりました。

 活躍が大いに期待されましたが、製造開始直後に第二次世界大戦に突入してしまい、軍需輸送用貨物蒸機の製造が急がれたこともあり、204両が発注されたものの、当初の計画よりも大幅に少ない55輌の製造にとどまりました。

 なお、55輌全てが、Schwartzkopffで製造されました。

 

 

 上記のように、当初の流線型で登場しましたが、戦争中に下回りのカバーは外されてしまいました。

 また、この当時のドイツ蒸機の共通欠点として、ボイラー材料St 47k 鋼が短期間で劣化して強度が落ちてしまうという問題があり、1945年6月20日に全車が休車となりました。

 全ての車の走行距離は50万km/h以下だったそうです。

 

 

 しかし戦後の車両不足もあり、廃車になった1輌(01 1067)を除き、修理を行うことになりました。

 この際、流線型カバーが外されましたが、カバーをそのまま外したこともあり、煙室扉が円ではなく、上部の給水温め器を避ける直線になっているなんともかっこ悪い姿でした。

 それでもボイラー鋼の劣化は如何ともしがたく、1953年、DBは保有する全てのBR 01.10のボイラーを全く新しいものに更新しました。 

  この際、フロントエプロン改造、ローラーベアリング化等も行われ、出力は1728kWに増強されました。 

 

 

 1956年にBR 01.10は重油炊き改造が行われ、さらに性能が向上すると共に燃費も改善されました。

 更には機関助手の負担を大幅に削減するなど、いいことずくめだったので、重油炊き改造は1957年から33輌に施工されました。 

 なお、1968年のコンピューターナンバー化の際、石炭炊き機が011、重油炊き機が012となりました。

 

 

 BR 01.10は、軸重(20t)のため、幹線での使用に限定されました。

 それでも電化が遅れた、北ドイツで急行や準急を牽いて、BR 011が1974年、BR 012は旅客用蒸機の最後を飾って1975年まで運用されました。 

 まさしくDBを代表する名蒸機と思います。 

 現在でも重油炊き機BR 012は動態保存機が複数存在します。

 

 以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe 01.10 より引用、参照しました。

 

 

 さて、BR 011の模型ですが、Modellbau-Wikiによると、模型化は意外と少なく、プラ製HOはLiliput、Märklin、ROCOしかありません。

 これらのうち一番古いのはLiliputだそうですが、正確な発売年はわかりませんでした。

 ただし、オーストリアLiliputが倒産する直前ですので、1989-1991年の間だと思います。

 

 

 次に古いのは1991年のMärklin製品3390です。

 1984年発売のBR 012(3310)の炭水車を変更した、バリエーションモデルとして発売されました。

 こちらで紹介する083-3号機は、CS2が含まれる2013年のMega Starter Set 29740からのバラシ品で、mfxフルサウンド仕様です。 

 製品は新しいのですが、機関車自体は1991年発売の3390と何ら変わっておりません。 

 さすがに30年以上前の製品だけあって、細部は現在の製品と比べてしまうと見劣りしますが、太いボイラーや短い煙突など、BR 011の特徴をよく表していると思います。

 

 

 基本的に昔のままなので、走行装置は現在のスタンダードである小型モーターでウォーム伝達で動輪を駆動する方式ではなく、DCMモーターから平ギアで減速し、第三動輪の外周にあるギアに伝達、残りの動輪にはロッド駆動するという、アナログ時代の標準的な方法です。 

 

 

 早速走らせましたが、いわゆるDCMの走り……パワフルですが、ノイズが高い……でした。 

 低速時にややぎくしゃくするのは、DCMゆえ、仕方ないかもしれません。 

 ただし、長年の実績のある動力方式ですので、安定性はCサインや今のコンパクトモーターよりも優れると個人的には思います。

 走行派には、DCMの方が向くような気がしますね。

 

 

  ファンクションは2013年製品にしては少ないです。 

 投炭音やブロー音は単独では鳴りません。 

 その代わり、動輪灯が点灯するのがかっこいいです。 

 もちろんランボードしたの個々の動輪灯が点灯するわけではなので、このギミックはその後採用されていないように思います。

 

 

 ご覧のようにあっさり目のディテールですが、私はこれでも良いと思います。

 

 

 この角度で見たときによく似ているように思います。

 

 

 今の製品とは異なり、炭水車はプラスティック製です。

 ですが、塗装の質が良いのかダイカスト製のボイラーと大きな差異はないように思います。

 

 

 弁装置は現在のモデルほどの精度はありませんが、いい感じですね。

 特に色合いが優れるように思います。

 デフは鉄板製ですが、塗装が良いのでとりあえず錆びてはいないようです。

 それよりも薄いのが実感的ですね。

 

 

 メルクリン製品伝統のダイカスト製車輪です。

 スポークがとてもシャープですね。

 最近の模型なので、ロッド周りも黒染めになっています。

 このあたりの構造は1984年の製品そのままですが、これよりも前の製品(例えばBR 03)などに比べると、プラ製部品を使って細かくなっています。

 

 

 最近の模型なので、レタリングは美しいですね。

 

 

 反対側面。

 DB戦後製機なので太い、直線的なボイラーですね。

 またドームが少ないです。

 

 

 ボイラーはダイカスト製ですので、質感に優れます。

 ハンドレールは別パーツになっています。

 ボイラーやランボード下の配管類は一体成型ですね。

 

 

 BR 011はBR 23にもよく似た密閉キャブですね。

 

 

 キャブもいい感じです。

 

 

 今回初めて気づきましたが、BR 011は炭水車に後進用の窓がついているのですね。

 今までこの装備は、BR 50だけのものと思っていました。

 

 

 5軸テンダー2’3 T 38です。

 上記の通り、プラ製ですが、あまりプラっぽくはないですね。

 BR 011は、BR 44などと異なり、キャブのステップは炭水車でなく、キャブ側に取り付けられています。

 

 

 炭水車反対側。

 はしごは金属製なのでシャープではないですが、強度は十分です。

 私個人は、こちらのほうが好きかも。

 前側2軸は台車になっていますが、後側3軸は台枠になっているのですね。

 

 本機は珍しく某オクで入手しました。 

 元箱なし、尻棒、エアホースなしでしたが、それ以外はきれいな状態でした。 

 絨毯の上で走らせたのか、写真の通り、毛埃が目立ちましたので、除去しました。

 

2015年11月26日 入線

 

2015/12/4 記 
2020/3/21 写真全面入れ替え、文章見直しの上、再録
2020/5/20 Blogger用に再編集

 

 

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