DB103のKleines Modellmuseum Ep. IV

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バーデン大公国邦有鉄道 急行用蒸気機関車 IVh型 1013号機 (Märklin 39022)

 

 

  今回はバーデン大公国邦有鉄道が誇る四気筒式急行蒸機 IVh型(後のBR 18.3型)を紹介します。

 

 

バーデン IVh 主要諸元

 型式:2'C1'h4v、バッファ間距離 23.23m、運転重量 97.0t、軸配置 2C1、軸重:17.8t、動輪径 2,100mm、過熱式四気筒、出力 1,434kW、ボイラー圧力:15bar、最高速 140km/h

 

 

 20世紀の初頭、ドイツ各国では急行用蒸気機関車を競って開発しました。

 この頃、性能向上策として好まれた四気筒、2.1m径の大径動輪を装備し、1,434kWでなんと140km/hを発揮しました。

 

 

 ただし、ただの四気筒機ではなく、外側シリンダーで第2動輪を、内側シリンダーで第1動輪を駆動し、第3動輪にはカウンターウェイトがないという変わった構造になっているようです。

 また内外のシリンダーも大きさが異なるのだとか。

 

 

  IVh型は1918年から1920年までに20両が製造されましたが、最後の一台が完成した時には、バーデン大公国邦有鉄道を含むドイツ各国の鉄道は、DRG(Deutsche Reichsbahn Geselschaft)に統合されておりました。

 

 

 ところで1920年のDRG発足に伴い、各邦国鉄道の四気筒パシフィック機 (2'C1'型機) は、BR 18に集約されました。

 具体的には、BR 18.0:ザクセン XVIII、BR 18.1:ヴュルテンベルク C、BR 18.2:バーデン IVf、BR 18.3:バーデン IVh、BR 18.4:バイエルン S 3/6となります。

 

 灯火もまだランプです。

 

 なお、付言しますと、BR 18.5は、BR 03の開発遅延により、DRGによって生産が継続されたS 3/6であり、BR 18.6は、戦後DBがBR 18.5の性能向上を図り、ボイラー更新を行ったUmbau機です。

 さらにはBR 18.201は戦後、DR(Deutsche Reichsbahn=東ドイツ国鉄)が製作した高速試験機です。

 バーデンIVh は、バイエルンS 3/6とは異なり、DRGによって生産が継続されることはありませんでした。 

 

 

 IVh型は上述のように、当時としては画期的な高性能を発揮しましたが、残念ながらその性能を全力発揮できるだけの線区が殆どなく、また非常に複雑な構造が災いして、あまり好まれなかったようです。

 それでも、急行ラインゴルトの牽引では、一躍有名になりましたし、後に転属した北ドイツでは、平坦な地形や手慣れた運用により、15年後に開発されたBR 03型よりも高性能を発揮したようです。

 

 

 BR 18.3は1両が戦災廃車となりましたが、残り19輌は1948年に廃車となりました。

 戦後の非常に苦しい時期でもあり、複雑な構造が災いしたのかもしれませんね。

 DBに移管された同じ四気筒機でも、BR 18.1は1955年まで、BR 18.5は1960年頃まで、Umbau機BR 18.6は1966年まで使われましたから。

 

 

 用途廃止となったとはいえ、これでBR 18.3の生涯が終わったわけではありません。

 非常な高性能機でしたから、DBの高速試験機としての活躍が待っていました。

 残存した19輌のうち、18 316、319、323号機が選ばれ、これらは1960年代の終わりまで各種の試験に使われました。

 これらの機関車は試験におけるブレーキ機関車として使用するための反圧ブレーキ、ヴィッテデフ、大型煙室扉、改良された砂箱、「カレドニアン」式の煙突などが装備された他、炭水車も改良されました。

 18 319は煙室が延長され、内部に高圧シリンダーから排気する装備が備えられたそうです。

 

 

 廃車後、316、323号機が静態保存されました。

 そのうち、316号機は1995年に奇跡的に動態復帰しましたが、2002年2車輪を損傷し、現在は静態になっているそうです※。

 

 以上、Wikipedia バーデン大公国邦有鉄道IVh型蒸気機関車 より、引用、参照しました。

※重大な損傷の結果、ポーランド ビーラ工場での修理も失敗し、現在は静態になっていると古いRF誌に出ていました。

 

 

 さて、IVh型は有名な割には20両と製造数も少なく、活躍期間も短かったこともあり、制式機に比べると模型にはあまり恵まれない形式であり、Modellbau-Wiki によると、HOでは1982年のLiliput製品が長らく唯一の量産製品でした。

 こちらはいかにもLiliputらしく、全体の感じもいいですし、後付け部品多数で、細部もかなり細かい(と言うよりも当時の限界に近いかも)製品でしたが、同社製品らしく、走りはイマイチで、部品が取れやすいという欠点もありました。

 

 

 

 とは言うものの完成度はかなり高いので、なかなか競合製品が出ませんでした。

 こちらで紹介するMärklin製品(39022)は、2008年に完全新規で出たものです。

 メルクリン製品の常で大変良く似ているように感じますし、さすがに24年後の製品だけあって、大変よく出来ていると思います。

 ダイカストの質感とやや艶のある塗装がいいですね。

 

 

 39022は品番からもわかりますように、Cサインモーターです。

 とても静かにかつスムーズに走るのですが……、Cサインモーターには大きな問題があるらしく……、がっかりです。

 更に動輪のゴムタイヤのせいか僅かに揺れるのは、最近の同社製品の共通欠点ですね。 

 

 

 サウンドは現在のものと同じなので、音量、質感共によく、ノイズの低さも、サウンドを際立たせていると思います。

 ただし、種類は少ないです。

 四気筒機は二気筒機と同じ音なのですが、実際はどうなのでしょうね。

 もっとも18.316は現在静態なので、サンプリングは出来ないわけですけどね。

 また同時期のBR 01とかにあった火室メラメラはありません。

 これは残念な気がします。

 

 

 2.1m動輪がかっこいいですね。

 制式急客機は2.0m動輪が標準となりました。

 

 

  BADENと書いてありますので、1920年頃の仕様のようですね。

 ところで、IVh(BR 18.3)には、いろいろな色が存在しますよね。

 こちらはエメラルドグリーンに近い色なんですが、実際のところ色調ってわかるんでしょうか?

 カラー写真はない時代ですし。

 

 

 バーデンやバイエルンの蒸機は、前部のステップが特徴的ですが、繊細な形状なので模型化は難しいです。

 こちらは金属の支柱ですので、強度と実感を兼ね備えていますね。

フロントのポールとステップはバーデン機特有の形状で、BR 75.10やBR 92.2も全く同じ形状をしていますね。

 

 

 

 ダイカストのスポークがシャープですよね。 

 ボイラーの質感は大変優れていると思います。

 

 

 キャブ脇のハンドレールも金属なので直線が出ていて、好感が持てます。

 

 

 バーデン機のキャブはEinheitsとは異なりますね。

 汽笛も挽物です。

 

 

 レタリングもとてもきれいです。

 金色は今のところ色あせてはおりませんが、退色するかもしれませんね。

 

 

 bad. 2’2’ T29,6炭水車です。

 炭水車上の手すりはプラ成形品です。

 シャープなのですが、折れやすい欠点もあるようです。

 

 

  テンダーもダイカストなのは質感の統一という意味ではよいですし、サウンドにとっては音が響くので良いのではないでしょうか?

 

 

 全長 23.23m、動輪径 2.1mの大迫力機です。

 大いに活躍させたいですが、Cサインの問題は困ったものですね。

 

  

 2013年5月31日 入線

 

 2014/7/16 記
 2019/11/30 再録
 2020年1月11日 写真全面入れ替え、文章全面更新の上、元記事を削除の上、再録
 2020/5/22 Blogger用に再構成

 

 

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