DB103のKleines Modellmuseum Ep. IV

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西ドイツ国鉄 DB 急行用蒸気機関車 BR 03.10 1001号機 (Märklin 37915)

 
 

 今回は西ドイツ国鉄の急行用蒸気機関車 BR 03.10を紹介します。

 

 

 

 

  BR 03.10は、DRGが軸重 18tの二気筒式 急行用蒸気機関車 BR 03の後継機として、開発した急行用三気筒蒸気機関車です。

 

 

BR 03.10 主要諸元

 型式:2'C1' h3、バッファ間距離:23.905m、運転重量:104.2t、軸重:18.9t、過熱式二気筒、出力:1,375kW、ボイラー圧:16bar、最高速度:140km/h、動輪径:2000mm

 

 

 軸重20tのBR 01の後継機 BR 01.10と同じ位置づけであり、DRGでは、BR 01/03の後継機開発に際して、二気筒と三気筒を比較して、三気筒機有利と判断したようです。

 ただし、BR43/44のように実際に製作して比較することは行っておりません。

 

 

 BR 01.10と共に、登場当時は当時の流行にならって、BR 03.10には流線型カバーが取り付けられておりました。

 まさしく新生ドイツの花形機関車であり、130輌が製造される予定でしたが、おりしも勃発した第二次世界大戦により、1939年から1940年までの間に60輌だけが作られました。

 そして、流麗なカバーも保守の邪魔になるなどの理由で、下半分が取り外されたみすぼらしい姿での運用となってしまいました。

 BR 03.10は、第2次世界大戦中 1輌が戦災廃車となり、終戦後、DB に26輌、DRに19輌が引き継がれました。

 その他、9輌がPKP(ポーランド国鉄)、3輌はソ連の手に落ちたようです。

 合計が合いませんが、その他は不明です。

 

 

 さて、戦後、DBはBR 03.10を整備しました。

 その際、流線型カバーが完全に取り外され、ヴィッテデフが取り付けられました。

 煙室扉が正円ではなく、上が直線となっている(扉の上部に給水温め機があるため)ためお世辞にもかっこよくありません。

 さすがにこれは数年で通常型に変更されたようですが、同時期にボイラーとキャブをスチールブルーに塗装し、煙突と煙室を黒塗装したものも現れました。

 同様な例がBR 01.10にもありますので、当時の優等列車F-Zug用だったのかもしれません。

(余談ですが、Märklinからはこの雰囲気モデルが出ています。ただし、BR 03.10ではなく、BR 03ですが) 

 

 

 しかし程なくして、DBのBR 03.10は26輌全機が改造されました。

 それもボイラー換装、新型炭水車という大改造であり、1957~61年にかけて実施されたようです。

 私は従来、このボイラー換装は、性能向上策と思っておりましたが、Wikiを見た限りではどうも主目的は異なるようですね。

 それは、1930年代にボイラーに使用された鋼材(St 47K?)の経年劣化が著しく、爆発などのトラブルが発生したことが原因と記載されています。

 そう言われてみると、DBによりボイラーを換装したのは、古いBR 01とBR 18.5は別とすると、BR 01.10、BR 03.10、BR 05、BR 41、BR 45であり、確かに製造時期は一致します。

 しかし、BR 41は原型ボイラーのままの機種も多いですし、同時期のBR 50やBR 52は少なくともDBでボイラー換装を行った機種はありません。

 このあたり、詳しい方のご教授をいただけましたら幸いに存じます。

 

 

 フロントの感じが、いかにも戦後型のDB蒸気機関車ですね。

 

 さて、このように新しく生まれ変わったBR 03.10ですが、その終焉は存外早いものでした。

 なんと改造終了からわずか5年後の1966年9月には、全機が廃車となってしまいました。

 Umbau機の中でもBR 03.10は際立って引退が早いのですが、残念ながら理由はわかりませんでした。

 また引退時期が早かったためか、DB Umbau機は保存されませんでした。

 

 以上、Wikipedia DR-Baureihe 03.10より、引用、参照しました。

 

 

  さて、HOのBR 03.10ですが、Modellbau-Wikiによりますと、流線型のDRG原型機は古くから発売されており、一番古いのはMärklinで、1970年の発売になります。

  2線式では1981年のFleischmann製品が有名ですね。

 しかし、流線型カバーが取り外されたBR 03.10の戦後型は、WeinertやModellocoのDB Umbau機のキットしかありませんでした。

 

 

 ようやく2000年代になって、ROCOとMärklinから新製品が発売されました。

 面白いのはROCOもMärklinも別格製品としての扱いで、通常に比べるとかなり値段が高いです。

 

 

  まず2005年に、ROCOから、DBの原型ボイラー機が発売されました。

 原型ボイラーで、煙室扉が正円に改造されたものが最初にリリースされ、後に煙室扉が正円ではなく、上部に給水温め機がある原型機を模型化しているようですね。

 この姿のプラ製品はROCOしかないため、貴重な存在です。

 見た感じはすごく繊細で、また最近のスタンダードで炭水車にモーターを配置し、機関車の動輪と炭水車の全軸を駆動する方式のようです。

 

 

 この形式は持っていないので欲しいのですが、ともかく高いです。

 中古を何度か見かけましたが、個人輸入で普通のサウンド機が買えるくらいの値段で、とても手が出ませんでした。

 

 

  一方、こちらで紹介するMärklinは2010年の発売で、当初、MHIモデルとしてでした。

 上記のように、量産模型では唯一のDB Umbauバージョンとなります。

 現在の標準である、動力をギアで動輪1軸に伝え、ロッドにより動力伝達を行っていますが、ぎくしゃくしたところはありません。

 スムーズに回転します。

 

 

 サウンドも現在の標準ですが、迫力があります。

 実際に走らせてみますと、モーターやギア音が静かなので、サウンドが映えますね。

 

 

 見た感じはすごくよく似ていると思いますが、いかがでしょうか?

 開閉できる炭水車上部カバーと言い、私は十分なディテールと思います。

 このカバー、破損しやすくて、実際にはほとんど閉じたことはなかったんだとか。

 

 

 BR 03.10はDB旅客蒸機では珍しく、プレート式先輪ですが、これもまたいいですね。

 私的にはダイカストの車輪は、質感が良いので好きですね!

 

 

  材質はいつも通りで、ボイラー/テンダーがダイカスト、その他がプラですが、塗装がいいので、昔の製品のような材質による塗装の不均一感はありません。

 

 

 標記類も美しいですね。

 こちらはトップナンバー機です。

 

 

 

 弁装置周りの色もいい感じです。

 

 

 ダイカスト動輪はシャープです。

 

 

 メルクリンの半光沢塗装は、重厚感があって私は好きです。

 ただし、こうして見ると、炭水車の台車は赤く塗りたい気もしますね。

 

 

 ウインドデフレクターも透明パーツになっています。

 

 

 ドア付きキャブは高速機らしいですが、実際には大変だったでしょうね。

 

 

 うちの平坦線では牽引力は十分でした。

 ROCOのUIC-Xを10両程度牽いても問題なく快走します。 

 

 

  残念なことに、私のはかなり揺れます。

 ゴムタイヤのせいかもしれませんが、Märklinの蒸機は他のも揺れますので、そういうものなのかもしれません。

 それにしても、BR 03.10はうちの中では一番揺れる気がします。 

 もっともこの製品の他のが揺れるかどうかは、見たことがないのでわかりません。 

 

 

 カバーのついた炭水車はBR 50.40くらいですが、独特の形状でかっこいいですね!

 カバーが開閉できるのも、すごいと思います。

 ところで、このカバーはどうしてつけられたのでしょうか?

 空気抵抗を減らすため、ではないと思うのですが。  

 

 

 私のは箱なし、尻棒なしの中古で入手しました。

 MärklinのBR 03.10 DB Umbauは長年の憧れであり、偶然に入手できたのは、ほんとラッキーでした。

 

 

 2013年7月10日 入線 中古にて入手

 

 2014/8/30 記 
 2020/4/4 写真全更新、文章修正の上、再録
 20205/20 Blogger用に再編集

 
 

 

 

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