西ドイツ国鉄 DB 貨物用蒸気機関車 BR 50.40 4005号機(Märklin 37040)
今回は西ドイツ国鉄DBの珍機種 BR 50.40について紹介します。
BR 50.40はドイツ連邦鉄道DBが開発した貨物用 Franco-Crosti 蒸気機関車です。
BR 50.40主要諸元
型式:1'E h2、バッファ間距離:22.94m、運転重量:90.6t、軸重:最大15.4t、過熱式二気筒、出力:1,133kW、ボイラー圧:16bar、最高速度:80km/h(前後進とも)、動輪径:1,400mm
Franco-Crostiと言うのは、この方法を開発した二人のイタリアの技術者の名前で、いわゆる廃熱回収式の機関車のことです。
蒸気機関車はボイラーで石炭を炊き、その燃焼ガスの熱で水を加熱して蒸気を製造します。
熱交換後の燃焼ガスは、煙突から排出されます。
しかしながら、ボイラーの出口では燃焼ガスがまだ高温であるため、この廃熱を利用して、給水を加熱するものです。
日本では、排蒸気を用いて給水を加熱する各種の給水温め器が実用されましたが、Franco-Crosti式は、排蒸気ではなく、燃焼ガスそのものを用い、より大規模に熱交換を行うもので、こちらのBR 50.40について言えば、蒸発伝熱面積が199.3m2と通常型の177.8m2よりも12%も増えております。
BR 50.40は更に給水温め器MV-57も装備しています。
蒸気機関車は熱効率が非常に悪いので、このような対策を講じて、少しでも熱を有効利用し、石炭の使用量を減らそうとした、省エネルギー機関車と言うことですね。
Franco-Crosti機関車は、開発者の出身国であるイタリア国鉄が最も多く実用化しましたが、DBでは、BR 52の改造によるBR 42.90のテストにより、問題点があるものの、石炭の使用量削減効果が見られたため、1954年に大量に製造された1E制式貨物機BR 50の1412号機を改造、50 4001号機とし、テストを行いました。
その結果、石炭22%節約の効果が得られたため、1958-59年に30両がBR 50から改造新製されました。(50 4002-4031)
なお、そのうちの1輌(4011)は重油炊きに改造されております。
まさしく時代を先取りした機関車でしたが……、そうは問屋が卸しませんでした。
と言いますのも、肝心なエコノマイザーが腐食してしまうという問題が生じたからです。
恐らくですが、発電設備などと異なり、蒸気機関車の場合、煙室以降の燃焼ガスの温度が低く、エコノマイザー入口では、酸露点以下になってしまったことが考えられます。
石炭の燃焼ガスには硫黄分や窒素分が多く含まれるのも、不利だったでしょう。
そのため、1961年にはすべての機関車が、エコノマイザーとサイド煙突の使用を中止したそうです。
その後、エコノマイザーを耐食クロム鋼に替えたそうですが、コスト高を招き、省エネ効果が相殺されてしまいました。
それでも根本的な解決にはならなかったため、全車が1967年までに引退しました。
なお、殆どの車両が保存されていると言っても過言ではないドイツでも、このBR 50.40は一両も残っておりません。
以上、Wikikepdia 独語版 DB-Baureihe 50.40 を参照、引用させていただきました。
さてBR 50.40ですが、特殊な機関車のためか、長らく量産製品はありませんでした。
ただし、ベースとなるBR 50は各社から発売されておりましたので、Weinert等より、コンバージョンキットが発売されており、私もいずれ組んでみたいと思っていました。
そんな中、2011年に突然、Märklin/TRIXより、こちらが発売されました。
まさか、こんなマイナー機種が出るとは思わなかったので、率直なところ、とても驚いた次第です。
それで、37040は、2010年に発売されたMärklinとしては二代目のBR 50(37811)の派生製品ですが、転用しているのは下回りくらいで、ボイラー、キャブ、ランボードなど、殆どの部品が、新規製作となっております。
車体の出来は、非常に繊細であり、昔のメルクリンとは違います。
その分、扱いには注意が必要です。
特筆すべきは塗装で、完全つや消しではなく、独特の光沢ですが、高級感を醸し出していると思います。
一方、仕方ない面もありますが、ここまで精度が上がってきますと、炭水車台車など赤いプラ製部品が浮いてしまいますね。
これは塗装してやるとすごくよくなるとは思いますが、他と色調を合わせるのは難しそうです。
このようにボイラーが二段重なっており、上は通常のもので、下が廃熱回収用(エコノマイザー)です。
エコノマイザーが増えた分、2.1t重量増となりましたが、それに見合うだけの省エネ効果があったようです。
燃焼ガスは、上の煙突から排出されずに、下部のエコノマイザーに導かれ、そして主ボイラー脇のサイド煙突から排出されます。
サイド煙突の形状がよくわかりますね。
ランボード下部に廃熱回収に伴う、配管類が増えているのがわかりますね。
サイド煙突になった分、キャブに対する排煙が問題となりましたので、このようにキャブ上部にはウインドデフレクタを装備しております。
もともとの煙突に蓋がしてありますが、この蓋は開閉可能だったようで、エコノマイザーの腐食により、1961年にはサイド煙突の使用が廃止されたとありますので、その時はこの煙突をまた使ったのでしょう。
このあたりの質感は最高ですね。
レタリングもきれいです。
炭水車 2'2' T 26 です。
上記のようにサイド煙突の影響があって、炭水車にはDB UmbauのBR 03.10のような開閉式のカバーが取り付けられております。
実際にはこのカバーは破損しやすかったため、開けっぱなしだったようですね。
模型のカバーは開閉可能です。
このあたりの部品は同じMHIのBR 03.10からの転用かもしれません。
サイド煙突のアップ。
前方視界の邪魔になりそうですね。
キャブ上のウインドデフレクタの形状がわかりますか?
後方から。
キャブ自体はBR 50用ですね。
ダイカスト動輪。
ほんと今の動輪はシャープです。
そうそう、Akiraさんの情報では、こちらのBR 50 4005号機は、先輪がスポークではなく、ディスクタイプだそうです。
なお、BR 50はやや牽引力不足との情報もありますが(うちには2両ありますが、あまり感じたことはありません)、こちらはまだテストしていないのでわかりません。
サウンドは通常のものと特に変わったところはありません。
ただ、私のは音量がやや小さい気がします。
さて、こちらはMHI製品です。
ご存知の方も多いと思いますが、MHIというのはメルクリンインサイダークラブ専用製品で、このクラブに入っている人だけが購入出来るスペシャルモデルです。
実際には、売れ残った場合等、一般に販売することもあるようですし、中古にも出回るので、会員でもない私も何両か所有しております。
ちなみにBR 50.40は、かなり高価な商品でしたが、ちょうどユーロ安の時期と重なって、日本では5万円台後半で売られておりました。
とは言うものの、私にはとても手の出るような代物ではなく、デジタルを始めたのちに、あるお店にTRIXが売れ残っていたものの、どうしようか迷っているうちに売り切れてしまいました。
その後、某オクで一度だけ見ましたが、それっきりで。
2015年、コンピューターナンバー仕様054 007-0(架空モデル、実車はそれ以前に廃車された)が発売されましたが、2015年からLippeではMHIの取り扱いをやめてしまい、他方、ユーロ高もあり、国内では7万円弱となってしまい、とても手が出るような代物ではありません。
そういうわけで、ほとんど諦めかけていたのですが、偶然にも、中古で入手できた次第です。
私にとってはかなり高い買い物でしたが、新品を買うことを考えればと思い、決心しました。
特異なスタイルで目を引くBR 50.40です。
実車は短命に終わりましたが、模型の世界ではいつまでも活躍させたいと思います。
2015年6月15日 入線
2015/6/19 記
2019/12/13 写真全更新、文章修正の上、再録
2020/5/24 Blogger用に再構成
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プロイセン王国邦有鉄道 コークス貨車 Ommk(u) ザクセンモデル 16226
プロイセン王国邦有鉄道のコークス貨車Ommk(u)です。
邦有鉄道設計貨車。
標準図Ce146の20t積みのコークス車です。(このあたり確実ではありません)
ドイツの鉄道は1835年に開通しましたが、1920年にDRGが発足するまで、各王国が独自の鉄道を運営しておりました。
この期間をエポックIと称しております。
最初は各王国独自の車両を用いていたようですが、当然のことながら、王国間での車両の乗り入れ等があり、標準化設計が行われるようになったようです。
こちらもその共通設計図で作られたようですね。
中央部のクレストがプロイセン王国邦有鉄道を現します。
その下の"Kattowitz"は現在ポーランドになっているシュレージェンの都市名です。
DRGでは貨車の型式名称が都市名でしたが、こちらの名称についてはよくわかりません。
本形式は、邦有鉄道ではOmmk(u)、DRGではOm Ludwigshafen、DBではOm 04となったようです。
なお同じDRG Om Ludwigshafenですが、他とは全く形状が異なります。
今から100年以上前の貨車だと思います。
日本型には1945年以前の車両は殆どないと思いますが、欧州型にはこのような古い車両が充実しているのが、魅力ですね。
とは言いましても、これが1870年以前の車両となりますと、模型は殆どないと思います。
こちらは今は消滅してしまったSachsenmodelleの製品です。
この会社の製品には正直な話、あまりいい印象がないのですが、貨車だけは別格で、こちらも繊細な出来であり、FLMなどに混ぜても全く違和感がありません。
なお、Sachsenmodelleの製品は一部Tilligに引き継がれています。
前にも書きましたが、私がこの道に入った30年前は、今と違って、欧州型真冬の時代であり、本当に品物がありませんでした。
そんな中、高かったですが、古典車両だけは割と入手できました。
そこでFLMのプロイセンの車両などいくつか入手しましたが、当時の私には価値がわからず、その後、手放してしまいました。
ようやく価値がわかるようになった今になってみると、もったいなかったですね。
2002年6月30日 入線
2019/1/31 記 2019/12/24 再録
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西ドイツ国鉄 DB 急行旅客用蒸気機関車 BR 18.6 620号機 (Fleischmann 4118)
今回は西ドイツ国鉄の急行型蒸機 BR 18.6(BR 18.5のUmbau(更新)機)を紹介します。
BR 18.6は、戦後、DBが性能向上を図るべく、バイエルン王国邦有鉄道(K.Bay.Sts.B)の名機 S 3/6(DRG BR 18.4)のDRG生産型 BR 18.5をボイラー新造を含む、全面更新したものです。
BR 18.6主要諸元
型式 2'C1' h4v、バッファ間距離:22.862 m、運転重量:96.12 t、軸重:18.1 t、最高速度:120 / 50 km/h (前進/後進)、出力:1,950 PSi、動輪径:1,870 mm、過熱式四気筒、ボイラー圧力:16 bar
1920年のDRG発足前、各邦国(王国)はこぞって四気筒のパシフィック(2C1軸配置)の急行型蒸機を製造しましたが、S 3/6は中でも一番の成功作と言えるでしょう。
これらはDRGにより、BR 18に区分され、最高時速 120km/hの高性能を誇るS 3/6は、BR 18.4となりました。
バイエルン時代の1908年から製造されましたが、後継機となるべきBR 03の開発が遅れたことから、他の邦有鉄道パシフィック機 BR 18の中で唯一生産が継続され。1931年まで、合計159輌が製造されました
BR 18.4とBR 18.5は、F-Zug Rheingoldを牽引するなど、DRGの代表的急行用機関車として、縦横無尽の活躍をしましたが、やがてより高性能な制式機BR 01やBR 03に取って代わられたようです。
第二次世界大戦の敗戦後、DBは旅客用蒸機のボイラー新造を含む大幅な改造(Umbau)による高性能化を図りましたが、BR 01やBR 01.10、BR 03.10、BR 41に混じって、邦有鉄道時代の基本設計の古いBR 18.5もその一員として選ばれました。
結果的に、1953-57年の間、30両が新造のボイラーと火室に交換、運転室と加減弁が改良されてBR 18.6となりました。
ただし、BR 01.10のようなローラーベアリング化改造までは行われなかったようです。
上がBR 18.6(FLM)、下がBR 18.4 (ROCO)です。
更新により、ボイラーが太くなったため、イメージが大幅に変わったことがわかると思います。
BR 18.6は、より新しく、強力で、重軸重のBR 01と同程度の性能を誇り、さらには非常に燃費が良かったようですが、なんと給水ポンプの振動のため、ボイラーに亀裂が入るという致命的な構造上の欠陥により、1961-65年までに引退してしまいました。
現在、静態機が何両か保存されています。
以上出典:Wikipedia
詳しくはこちらをご覧ください。
さてS 3/6ですが、HOでは、古くからLima、Märklinから発売されておりましたが、更新型のBR 18.6は大幅にスタイルが異なるためか、この両社からは発売されず、TRIXの製品が最初のようです。
ただし、1960年代のものだそうですので、私は見たことがありません。TRIX EXPRESS(DC 3線式)のため日本にはほとんど入らなかったのではないでしょうか?
まともなスケールモデルは2000年のRivarossi、そして2004年のFleischmann製品となります。
残念ながら、フロントナンバーにずれがあります。
もっとも写真は実物の何倍にも拡大されておりますので、模型でははっきりとはわかりませんが。
Rivarossi製品は、スタイルは良好で、同社製品らしく繊細な出来でしたが、動力がゴムベルト駆動というおよそ高額商品には似つかわしくない大変貧弱なものでした。
このゴムベルトはBR 61などでも使われておりましたが、Oリングとは全く異なる直径1.5mmくらいの貧相なものです。
滑りますし、ゴムですので、経年劣化で劣化し、切れてしまうことは間違いありません。
特殊サイズなので、JIS規格のOリングは使用できないので、切れてしまった場合には走らなくなってしまいます。
これ以外にもゴム動力は、非力な模型用モーターにテンション方向の余計な力がかかるなど、使用上は悪い事だらけ、唯一設計側にとっては、ギアが不要なだけコストダウンが図れ、伝達軸を自由に配置できるというメリットがあるものです。
少なくとも私は最も嫌いな駆動方式ですね。
その他、Rivarossiの車輪がプラなのは、現在の目で見るとやや見劣りします。
その点、こちらのFleischmann製品はいつのながらのFleischmannタッチで、大変繊細な出来ですし、伝統のテンダードライブの走りはスムーズと思います。
モーターは縦型ではなく、いわゆるビューラータイプのようです。
私のはアナログですが、DCCサウンド仕様も早くから発売になっております。
サウンド付きの三線仕様も発売されているようですが、全く見たことはありませんね。
惜しむらくは2004年と言えば、ユーロが非常に高かった時期であり、高額なためか日本には、あまり入らなかったようですね。
そのせいか、FLMのBR 18.5シリーズは中古も皆無でこそないものの、ほとんど見掛けないですねぇ。
もっともFLMのBR 03より後の蒸機の中古は、ほとんど出ないですけど。
また、その後生産された原型 BR 18.5も、他社製品に比べるとかなり高めの価格設定ですし、何故か黒/赤塗装がないので手が出ないですね。
第一、FLMはHOの蒸機の生産をほぼやめてしまったようですし。
私はたまたまドイツの模型屋がバーゲンをやっていたので入手できました。
そうでなければ、手は出せなかったでしょう。
BR 18.6は、上記のように実機は必ずしも成功したわけではありませんが、模型の世界では縦横に活躍できるだけのパフォーマンスを持っておりますので、大切にしてやろうと思います。
<各部のディテール>
Fleischmann製品はこの写真のように直線がカチッとしているのがいいですね!
もっと価格の高い天プラやBRAWA製品でも、案外直線が出ていないものが多いもので。
シャープなダイカスト動輪は、Fleischmann製品の何よりの特徴と思います。
また赤塗装が実にいい感じです。
弁装置の色も本物ぽくっていいですね。
レタリングも美しいです。
1960年11月15日というのは検査を行った日付でしょうか?
これだけアップしても耐えるのはすごいと思います。
包み紙の繊維がいっぱいついてしまっていますね。
炭水車です。
BR 18.3 (Baden IVh)のように、前後の軸距が異なりますね。
また、前側は台車のようですが、後方は台枠に固定されているようです。
模型はFleischmannの標準で、炭水車にモーターを装備し、駆動します。
機関車駆動はありません。
炭水車のはしごは、上部のつかみ棒が曲がってしまうので、この際、車体から取り外しました。
2011年2月24日 入線
2014/8/24 記
2019/12/6 写真全更新、加筆の上、再録
2020/5/20 Blogger用に改変
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ドイツナローゲージ Spreewaldbahn 気動車 Nr. 501 (Bemo 1033 813)
今回はザクセン州にあったSpreewaldbahnのDC Nr. 501を紹介します。
Spreewaldbahnはベルリン南東部に位置する都市 Lübben から Cottbus までを結んだ軌間1000mmのナローゲージ線です。
1898年から1970年までの長い間、地元の足として活躍しました。
こちらのNr. 501は動力近代化のために、1934年に導入されたTalbot社製の気動車です。
1970年の同線の廃線まで活躍しました。
もっとも最後の頃は動かなくなっていたようですが。
側面の文字 "Fliegender - Spreeawaelder" は、同じ頃登場した "Fliegender - Humberger"をもじったものでしょう。(KATO製品で有名)
もっとも僅か65HPの狭軌DCですから、本家とは異なり最高速度は55km/hでした。
運転重量は12.7t、28人乗りです。
Spreewaldbahn及びNr .501についてはWikipedia Spreewaldbahnより、参照、引用いたしました。
こちらのBemo製品は、何の脈絡もなく発売されました。
あまりBemoらしくない製品なので、欧州型によくあるOEMかもしれませんが、詳しいことはわかりません。
完全左右対称で平凡なスタイルです。
レンズは入っていますが、ライトは点灯しません。
ただし、デジタル仕様のピンコネクタにはなっています。
軸が可動しないので、集電はいまいちです。
ただし、減速比が大きいので、集電状態が良ければ安定した低速を発揮します。
こちらは偶然入手しました。
単純な形状なので、模型としてはDR時代のツートンカラーの方が映えるかもしれませんね。
なおこちらは軌間9mmですが、実物は1000mmですので、12mmがスケールになります。たしかBemoから、交換用の車輪が出ていましたが、入手は難しいと思います。
2003年11月9日入線
<余談>
Spreewaldbahnはコットブスの近くを走っていました。
今回調べてみたのですが、北東にはハルベ、トイピッツ、ツォッセン(第9軍関係)、コットブス近傍にはシュプレムベルグ、ドレプカウ、ゼンフテンベルク(テッタウ軍団集団関係)など、第二次世界大戦最末期の激戦場がありました。
恐らくですが、戦争による被害も大きかったのでしょうね。
2018/12/13 記 2019/12/17 再録
ベルン・レッチェベルク・シンプロン鉄道(BLS) Ae 6/8電気機関車 208号機 (ROCO 43810)
今回はスイスの大手私鉄BLS鉄道の電気機関車 Ae 6/8を紹介します。
Ae 6/8はベルン・レッチェベルク・シンプロン鉄道の誇る、強力な電気機関車です。
レッチェベルク・シンプロン鉄道=BLSはスイスの最大の私鉄です。
スイス=イタリア間にはアルプス山脈はそびえ、太古から交通の障害となってきました。
昔は、スイスからイタリアに行くのにわざわざオーストリア・アールベルク峠を経由する必要がありました。
しかし1906年のシンプロントンネルの貫通により、大幅な時間短縮が図られました。
ところがスイスの首都ベルンにとって、シンプロントンネルはありがたみがありませんでした。
というのも、シンプロントンネルへ行くには、レッチェベルク峠越えをしなくてはならなかったからです。
ということで、レッチェベルクトンネルが計画されましたが、工事は難航を極めました。
途中で大水が出てルート変更を余儀なくされ、開通は1913年までずれ込みました。
このレッチェベルクトンネルを含む、スイス南西部に総延長237kmの路線を持つのがBLS鉄道です。
スイスは欧州の中でもっとも私鉄が発展していますが、BLSは、周辺の私鉄を含めたBLSグループとして、スイスの鉄道界に君臨しております。
レッチェベルク線は、国内線はもちろんのこと、ドイツ/イタリア方面行きの国際列車、はたまた需要が急増している国際貨物列車も多数運用されているヨーロッパでも有数の幹線です。
また同社の機関車(ボンバルディアRe 484)は、国際貨物列車を牽いてドイツまで乗り入れています。
BLSのレッチェベルクルートは27パーミルの勾配幹線が連続するため、代々保有する電気機関車は技術的にも見るべきものが多い特色ある強力機が投入されてきました。
本機もその一つであり、1913年の開通時から使用されていたFb 5/7(後のBe 5/7)に代わり、27パーミルで550tを50km/hで牽引できる機関車として、車軸配置(1'Co)(Co1')、低圧タップ切換制御とウエスティングハウス式クイル駆動との組み合わせによる当時世界最強の機関車として、開発されました。
BLS Ae 6/8 主要諸元(最終時)
全長:20260mm、自重:140t、軸配置:(1'Co)(Co1')、動輪径:1350mm、動輪周上出力:4410kW(1時間定格) 最高速度:100km/h
欧州では比較的珍しい1CC1の軸配置を持つ本機は、1926-31年の間4輌(201-204号機)がイタリア ブレダ社/スイス/ SAAS社により、1936-43年の間4輌がスイスSLM/SAAS社により製造されました。(205-208号機)
前期型は四角っぽいスタイルですが、後期型はスイス機としては他に例を見ない、ちょうどドイツのE 18のような丸っこいスタイルをしています。
そう言われてみると、前期型は古いFSの電機になんとなく似ていますね。
なお、前期型も後に前面形状が後期型類似の流線型に改造されたそうです。
本機は長命で、それに伴い数次に渡り改造され、1995年までの長きに渡り、客貨両用に大活躍しました。
現在でも、205号機が車体側面に"Bren Loetschberg Sinplon"標記のある旧塗装に戻され、動態保存されています。
スイス型の例に漏れず、Ae 6/8についてもWikipediaに大変詳細な説明がありますので、参照をお願いします。
上記の通り、BLS機はヨーロッパの私鉄機としては模型に恵まれる存在であり、日本製の高級ブラス製品を中心に、各メーカーから製品が供給されてきました。
今回紹介するAe 6/8も有名機であり、古くはFlugulexのブラス製品で知られておりましたが、1995年、突如としてROCOが製品化しました。
ROCO製品ですが、全体の感じはいいと思いますが、実車を見たわけではないので、よくわかりません。
この世界の大先輩によりますと、曲線通過のため、デッキと手摺が大分大き目になっているとのことですが、これは仕方ないでしょう。
前照灯はよく再現したと思います。
走りの方は今の目で見ると普通ですが、当時はなかなかレベルの高いものだったと思います。
それで残念ながら、私はハズレを引くことが多いのですが、本機もどちらかと言えばハズレで、パンタが外れやすく、またスノープラウの基部が折れていました。
また経年で208の文字の一部が剥がれてしまいました。
某有名店から通販で買いましたが、交換するのも大変で、そのままになってしまいました。
と言うよりも、昔の模型店はクレームなんかつけられるようなものじゃなかったですよ。
この店はかなりいい方でしたが、それでも、客がこのようなことを言い出しにくい雰囲気は十二分にありましたから。
それに代品がない場合がほとんどでしたから、買った側が諦めるしかなく、泣き寝入りすることが多かったですね。
なお余談ですが、あくまで私個人の経験に過ぎませんが、この手の話を一番しやすいのは、天賞堂さんですね。
話を戻しまして、パンタはたまたま持っていたメトロ製へ取り替えました。
形状が正しいかわかりませんし、オリジナルのように架線集電は出来ませんが、細密感は上がっていると思います。
スノープラウは、単なる飾りではなくカプラーの基部になっているので、折れた状態では都合が悪いので、ドリルで穴を開け、中に真鍮線を入れて接続しました。
それでも不安が残るので、後に部品を入手して交換しました。
10年くらい前は、ROCOの部品は天賞堂さんで取り寄せてもらえました。
はっきり言って値段は相当安かったです。
しかし天賞堂さんがROCOの代理店をやめてしまったので、大変残念ながら、このサービスも今はなくなってしまいました。
日本では欧州型はいつまで経ってもマイナーな存在ですが、日本語が通じる修理窓口がないのは相当なマイナスですね。
模型鉄道には故障がつきもので、特にデジタル関係、LED関係、モータートラブルについては、素人ではどうにもならないことが多いので、日本でもユーザーの多いメルクリンとロコについては、メーカーの修理窓口が欲しいですね。
代理店や扱い店経由で修理してもらえることもあるようですが、その店で買った人だけが対象です。
これは仕方ないと思いますが、一方、今は個人輸入等様々な手段で、模型鉄道を入手する時代であり、この流れはもう止められないと思います。
実際、KATO製品は、修理代を支払えば入手経路には関係なく修理してもらえますし。(部品がある場合)
まあ、同じく直接メーカーに修理を依頼すればいいのでしょうけどね。
一度ダメ元でメルクリンに聞いてみますかね。
このあたり、実際に修理を依頼されたことのある方のお話を伺えましたら幸いです。
1995年11月2日 入線
<実車動画>
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ドイツ国鉄 DRG 私有タンク車 "Persil" Fleischmnann 5435 K
今回はDRGの2軸タンク車を紹介します。
古典的なタンク車ですが、エポックIII時代まで使われていたようです。
模型はDRG時代で、台枠に25年3月31日なんて書いてあります。
こちらは私有貨車(車番542 149の後のPがPrivate:私有の意味です)ですが、全く同じタンク車がよく見られることから、恐らく、メーカー毎の設計ではなく、標準的な設計だったものと思われます。
ドイツの貨車には、例えばタンク車ならZなど型式名、あるいはDRG時代には都市名がつけられましたが、私有貨車の型式名については全くわかりませんでした。
上記のように、このタイプのタンク車は、多用されたのだと思われ、Fleischmannだけでなく、MärklinやSachsenmodelleから実にたくさんの種類が発売されておりますね。
こちらはHenkel社の私有貨車で、化成品を運んだようです。
積荷の記載にグリセリンが読み取れました。
それから、542 149 Pの左側の網目は実際には塗装ではなく、網状の袋になっていたようですね。
上記のように、DRG時代の貨車の型式名は都市名がつけられましたが、同一の型式で違う都市名(例:Oldenburg)がありますので、こちらの"Elberfeld"は本車の型式名ではないようです。
ブレーキ室付きですが、昔、集中ブレーキになる前の時代、機関車から合図をして、ブレーキ手が一斉に手動でブレーキを操作したのですよね?
今からでは信じられませんが。
このあたり、当方は資料を持ち合わせず、全く無知です。
誠に恐れ入りますが、もし委細をご存知の方がいらっしゃいましたら、どうかご教授方、よろしくお願いします。
模型の方ですが、1980年代のFLM製品ですので、大変繊細な出来だと思います。
手摺等は硬質プラスティックなので、破損しやすいため、取扱には十分注意して下さい。
スポーク車輪もいい感じですね。
軸受はブラではなく金属製になっております。
長期の使用を鑑みると、これはとても良いと思うのですが、残念ながらブリキ製なので、錆びることがあるのが欠点ですね。
2019/1/27 記 2019/12/13 再録
西ドイツ国鉄 DB 旅客用電気機関車 BR E 16 010号機 (ROCO 63621)
DB BR E 16は戦前に誕生した旅客用電気機関車です。
E16主要諸元
バッファ間距離:16.3m、運転重量:110.0t、軸配置:1'Do1'、軸重:20.1t、動輪径:1,640mm、駆動形式:片側ブフリ式、連続出力:2,020-2,655kW(こちらの10号機は2,020kW)、最高速度:120km/h
DRG BR E16は、1926-27年、1932-33年の間、合計21両が製造され、主に南部ドイツで1980年まで使用されました。
現在、4両が保存されているようです。
ドイツは世界最初に電化鉄道を走らせた国ですが、電化そのものの進展は第一次世界大戦等の影響で遅れました。
それでも南部ドイツやシュレージェン(現ポーランド)は戦前の段階で電化されており、電気機関車や電車が使われていました。
本機はDRGバイエルングループの急行旅客用ES 1として開発されましたが、後にDRG E 16となりました。
戦災と事故で3両が廃車となりましたが、残りの18両は比較的長命であり、1968年に全車コンピューターナンバー化されBR 116となりました。
本機は、南部ドイツで活躍したようで、何かの本でザルツブルク-ミュンヘン間の急行列車を牽いていたという記述を見たことがありますし、EJの別冊でTEE客車を牽いた写真もありました。
ボディの形状はE 52やE 91などのバイエルン電機同様、箱型です。
ドイツ型電機では唯一の片側ブフリ式であり、製造もスイスのBBCのようです。
Wikipedia 独語版 DR-Baureihe E 16によると、号機により出力がアップしているようです。
面白いのは動輪が両側面で異なっていることで、駆動側はディスクタイプですが、反駆動側はスポークになっています。
こちら側はディスクですが、
反対側はスポークになっています。
さて、模型の方ですが、HOではROCO(初代、二代目)、M+Fから発売されていたようです。
ROCOの初代製品は1976年の製品であり、1980年のカタログには載っていたものの、売っていませんでした。
M+Fは見たことがありません。
同社製品ですので、ホワイトメタルだったかもしれませんね。
というわけで、私にとっては欲しい機種ながら、入手できない状態が長く続きました。
1998年、ある方からROCOの初代製品を譲っていただいたのが、初めてとなります。
今から40年前の製品だけに、ご覧のように大時代的な出来ですね。
待望の製品でしたが、何しろ1970年代前半の製品です。
車体や各部の出来は大時代的ですし、走りもよくありません。
また揺れるのも気になりました。
そんな中、2001年にROCOが完全新製品として発売したのがこちらです。
本当はEp. 4仕様が欲しかったのですが、待望の機種故、たまらずドイツに発注しました。
期待に違わぬ出来でしたので、これに伴い、ROCOの旧製品は手放しました。
流石に2000年代製品だけあって、出来は良いと思います。
車体も繊細ですし、パンタも昔のものとは全く違います。
初代はなにか車体が浮いたような感じがありましたが、こちらはどっしりとしているのも好感が持てます。
同社のE 17やE 18はプラ輪芯ですが、E 16はシャープなダイカスト車輪を採用しています。
かっこいいです!
ROCOの現行のE 17、E 18は共に出来が良いので、ぜひ、車輪を金属製にして欲しいところです。
Ep. 3仕様で、ボディカラーは初代と同様、かなり濃い緑色(Flaschengrünと言うのでしょうか?)です。
その後、Ep. 4のBR 116も入手できましたが、こちらは同じ緑でももっとずっと明るい色になっています。(Chromeoxide Grün)
残念なことに2000年代初期製品のため、ボディの塗装が僅かに発泡スチロールの害を受けてしまいました。
ブフリ式の足回りも良く出来ています。
ただし駆動方式は、通常のカルダン駆動で、4軸を駆動します。
走りは普通です。
あまり力不足は感じません。
これからも活躍させようと思います。
車体中央部裏側のマイナスネジを車体と直角方向になるまで回すと、ボディが浮いて、爪がシャーシーから離れて分解できます。
(TRIXのBR 98.3グラスカステンと同じです。)
この際、ネジを回す方向は写真の通り、片方です。逆方向には回りませんので、注意してください。
また、車体の前後にもボディから伸びた爪があります。
華奢なので、破損しないように慎重に作業を行ってください。
2018/11/2 記
2019/12/10 写真全面更新、文章修正の上、再録
2020/5/25 Blogger用に再構成
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