DB103のKleines Modellmuseum Ep. IV

こちらでは模型鉄道以外の模型記事を書いています。模型鉄道関連は本店にお越し下さい。

採寸結果追記:ドイツ国鉄 DRG 有蓋車 G München (Liliput 21 302)

 今回は、ドイツの有蓋車で最も多く作られ、かつ長年に渡って活躍したドイツを代表する有蓋車DRG G Münchenを紹介します。

 DRG G Münchenは、Verbandsbauart (協会設計)に属す貨車で、Musterblatt (標準図) A2により定められた積載荷重15tの汎用有蓋車(短)です。

 A2はプロイセン王国邦有鉄道の標準図 IId 8の発展形であり、外見的には非常によく似ています。

 実際にはシャーシーが強化されましたが、外見上はわかりにくいです。

 目立った差異として、換気ガラリ/ローディングハッチの違い (IId 8は向かって右側が換気ガラリ、左がローディングハッチ、場所は両方とも端から2番目のスパンにある、A2は左側が換気ガラリで端から2番目のスパン、右側がローディングハッチで右端のスパンにある)、ブレーキ室の屋根が丸いのがIId 8、尖っているのがA2です。

 なお、A2にしてもIId 8にしても、改造により換気ガラリ/ローディングハッチの形状、数や位置が変更になっているものがあるようです。

 それでA2ですが、ドイツの鉄道が統一される以前の邦有鉄道時代の1910年から1927年まで、第1次世界大戦があったこともあるのでしょうか、なんと12万輌以上もの大量生産が行われました。

 なお、生産量には幅があり、Web上では121,770~14万以上の数値が確認されました。

 戦時賠償で多数が欧州各国に渡りましたが、それでもDRGに10万輌以上が継承されました。

 以前も記しましたが、DRGは貨車にGattungs(分類名)、Gattungsbezirke (分類都市名)及び5桁の番号を付しておりました。

 しかしながらA2は10万台以上あったため、一つの分類名では入り切らず、分類都市名 「München」及び「Kassel」が採用されました。

 生産当初、ブレーキはこちらのようなブレーキ室付きにしか装備されておりませんでしたが、1920年代に貫通ブレーキが搭載されております。

 更に1930年代の後半に、入換時の衝撃による破損を防止するため、車体端部の柱が強化されるとともに、側面の両端のスパンに斜め支柱が取り付けられました。

 また、一部の車は、蒸気暖房配管を装備し、いわゆるFakultativwagen (繁忙時に客を乗せる車輌)に改造されました。

 これらの車はGh Karlsruheとなりました。

 第二次世界大戦後においても、4万輌以上がDBへ継承され、G 10及びGh 10となりました。

 1960年時点においても、19,500輌とダントツの一位でした。

 G 10はその後減り続けますが、1970年においても4,000輌が残っていました。コンピューターナンバー化により、Gklm 191となりますが、最終的に1970年代末まで使用されました。

 ただし、A2 (G 10) の生涯はこれで終わったわけではありません。

 1950年代、ドイツ連邦鉄道 DB は、有蓋車を大量増備しましたが、当時の状況もあり、新造だけでなく、いわゆる旧型車の全面更新 (Umbau) を実施しました。

 A-2はその種車となり、本車の解体部品や台枠を転用して、Gms 54 (約14,000輌)、Gmms 60 (UIC 571-1準拠 約9,800輌)が製造されました。なお、生産数には一部、新造車も含みます。

 これらは2000年代に入るまで、現役でした。

 さて、実車の説明が長くなってしまいましたが、あまりにも有名な車故に、A2は各社が古くから模型化しておりました。

 しかし、欧州の模型には実によくあることなのですが、これだけの有名車にも関わらず、ろくな模型がありませんでした。

 こちらで紹介するのは、1980年代のLiliputの製品ですが、元々は恐らく1970年代の初期の製品ではないかと思われます。

 私は感じは悪くないと思っておりましたが、ドイツの模型クラブの評によると、この製品は、5段階評価の一番下「Müll」、すなわちゴミとなっておりました。

 なんでも「短すぎる、むしろGw 01の寸法」だそうです。なお、Gw 01とは、プロイセン標準図 IIb 1 積載荷重10-12.5 tの有蓋車で、DRG Gw Magdeburg→DB Gw 01となりました。

 ちなみにG 10は、車体長8,000mm、Gw 01は7,400mmですので、HOでそれぞれ92.0mm、85.1mmと6.9mmの差異となりますが、Liliputの車体長は87.5mmでしたので、確かにGw 01に近いかもしれません。

 更に換気ガラリ/ローディングハッチの形状と場所が全然違います。

 A2は換気ガラリ/ローディングハッチが各1個なのに、Liliputは両方とも換気ガラリになっていますし、形状もおかしいです。さらに配置がA2の基礎となったIId 8 (DB G 02)やGw 01のものですし、それにしても位置が上過ぎます。

 まあこちらのクラブの評によると、他のG 10も最近発売された大変高価なBRAWAを除くと全て3以下でした。

 それにしても、こちらのクラブは大変辛口ですが、数少ない他の情報源を見ても、今まで問題ないと思っていたドイツの貨車模型には問題があるものが相当多いことがわかりました。

 特にシャーシー転用によるスケール間違いが大変目立つことには正直失望させられましたね。

 話を戻しまして、Liliputのこの製品ですが、それ以外の大問題として、標記がでたらめということがあります。

 見ての通り、「Deutsch Reichsbahn」とありますが、その下に「102445」そして「G 10」!とあるのです。

 これはいくらなんでも絶対に変です。

 すなわち「G 10」とはDBがそれまで使われていたGattungsbezirkeに代わり、1952年10月より使用開始した型式名ですので、戦前の時点では影も形もありません。

 更に言うならば、DBのG 10の車番は、110 000~139 999のいずれかなので、こちらも間違っています。ちなみに車番100 000~109 999は、邦有鉄道貨車や大容量貨車などに割り振られています。

 あまりにおかしいので、東独のDRかと思いましたが、こちらの型式はG 04で、かつEp.IIIの番号標記は**-**-**となるはずので、これも違っています。

 あと車端部の補強も入っていませんね。(これは全車に施されたのかわかりませんが)

 1980年代にはこんな製品が出回っていたのですね。

 余談ですが、AFVモデルのTrumpetterやSABREモデルが、A-2の1/35のプラキットを「独軍軍用有蓋車G 10」として発売しておりますが、この製品を真似したんでしょうかね。

 だとしたらとんでもない間違いで、戦前のドイツなら「G München」か「G Kassel」にならなくてはならないはずです。「Gh Karlsruhe」もありですが。

 

 こちらは私がこの世界に入った直後の1988年頃に買いました。

 当時持っていたBR 98.3などと組み合わせるためにスポーク車輪に交換してあります。

 

 いずれにしてもドイツを代表するG 10ですが、BRAWA以外にまともな製品がないことを、今回はじめて知りました。

 BRAWA欲しいですが、高いし、売っていないしで。

 この間、MONTAにあったの買っとけばよかったです。

 

参考文献(代表例のみ記す)

Wikipedia 独語版

 Normalie (Eisenbahn)

 Güterwagen der Verbandsbauart

Gedeckter Güterwagen G10 “Kassel”

Flachdachgüterwagen G 10(G-Wg. G 10)

Bauart G-10 der DB

G 10

 

2021/6/27 記、2021/7/4 一部修正

 

<2021/7/22 追記>

 他に習って採寸してみました。

 いつも通り、黒が実車の1/87、赤が採寸結果です。

 素人採寸なので、測定値には相当な誤差を含むものと思っていただけましたら幸いです。

 Liliputに関してはドイツのHPの記事通り、実物とは相当違うことがわかりました。

 まずバッファ間距離ですが、こちらは実物に比べて2mm程度短いです。しかし、車体長は約5mmも短くなっています。

 実車はブレーキ室側の台枠が300mmはみ出していますが、Liliputは車体が短いのに台枠が長いためはみ出し幅が長すぎるのです。

 よってブレーキ室の位置も変です。手すりやはしごの形状も全くおかしいですね。

 Liliputのはしごは台枠だけにかかっていますが、300mmでは狭すぎるため、実物のはしごは台枠とバッファにかかる形になっています。

 車体長が短い分、ホイールベースも5mm短いです。

 一方、レール踏面から床下の距離は他の製品よりも正確でした。車体側面もやや低いですが、それほどおかしくはないように見えます。

 端面は側面ほどの誤差はありませんでした。

 

 

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