東ドイツ国鉄 DR マイヤータンク式蒸気機関車 BR 98.0 009号機 (RIVAROSSI 1340)
東ドイツ国鉄DR BR 98.0は、ザクセン王国邦有鉄道 K.Sach.B が開発した、小型マイヤー式タンク蒸気機関車です。
BR 98.0主要諸元
型式:B'B 'n4vt、バッファ間距離:11.624m、運転重量:60.5t、軸重:15.4t、動輪径:1.26m、飽和式、複合式四気筒、出力:540PSi、ボイラー圧:13bar、最高速度:50km/h
もともとはITV形と言い、ザクセンの首都ドレスデン近郊のWindberg線で石炭列車を牽くために開発されました。
同線は曲率の小さい (半径85m) 勾配線区のため、牽引力を確保し、カーブに強い複式の足回りが採用されたようで、同時期のナロー線用マイヤー機ザクセンIVk(ドイツのナロー専用機としては最大の55輌製造)を参考にしたようです。
1910-14年までの間、18輌が作られました。
(この項、EJ Dampflok Reportの記載に従いました。なお、Wikipediaには19両とありますが、合計が合いません。)
第一次世界大戦で3輌が廃車となり、DRGには型式98.0として、001-015の15輌が継承されました。
なお、DRG形式 98は簡易線区用の蒸気機関車に割り当てられ、BR 98.3→グラスカステンPtL 2/2、BR 98.8→バイエルンGtL4/4などが含まれます。
ついでに記しますと、マイヤー式とは複式の走り装置が互いに反対方向を向いているものを指します。
同じ複式機でもマレー式は同方向を向いているものですね。
マイヤー機は双方のシリンダが車体中心にありますので、高圧シリンダから低圧シリンダ間の蒸気配管を短くすることが出来ます。
実施例としてはザクセン機が主体で、バイエルンやヴュルテンベルクの複式機はマレー式ですね。
BR 98.0は、1945年2月13日のドレスデン大空襲で損傷を受けた機種もありましたが、復旧され、15輌全機が第二次大戦を生き残りました。
Windberg線が東ドイツにあったことから残存全機がDRに継承され、戦後はウラン輸送等にも使われ、最後の一輌が引退したのは1961年でした。
現在でも001号機が大変よい状態で保存されています。
詳しくはWikipedia Sächsische I TV を参照お願いします。
それで模型の方ですが、戦後、西側に残った機種がなかったためでしょうか、こちらで紹介するRivarossi製品が唯一の存在でした。
同じ小型複式機でも、ずっと短命だったバイエルンBB IIは高級ブラス製品がいくつも製品化されていたのと比較されますね。
なお、BR 98.0は近年、Gützoldから完全新規製品が発売されたようです。
写真を見る限りでは、出来は良いように見えますが、価格は相当高いようですね。
何よりも現時点では入手できないようです。
それで本題のRivarossi製品ですが、製造初年1980年という大分古い製品になります。
Rivarossiはご当地メーカーではないためか、この他にもBR 10、BR 39、BR 59、BR 77、BR 89.4、BR 96など、他社が全く手がけていない機種を多く発売しておりましたが、こちらもその一翼を担うものです。
複式機は大好きなので探していましたが、やはり特殊な機種故、なかなか出会うことが出来ず、入線したのは2003年7月のことになります。
プラ製の箱ですので、恐らく1980年の初期仕様と思います。
以前紹介したBR 77よりもさらに古い時代ですので、出来の方は相応ですし、当時のRivarossiのスタンダードに沿って、縮尺がかなり大きいのが難点です。
模型のバッファ間距離は142mmですので、約1/82となりますね。
その一方、ハンドレールが金属製の別パーツですし、バッファも金属製、そしてロッドも金属製と、いいところもあります。
更に私のは軽く走るのこともあり、その特徴的なスタイルと相まって、オーバースケールながら結構お気に入りの機種です。
最初に入手したものは、電球1個不良、バッファ1個欠品でした。
バッファはそのうち作ってやろうと思いましたが、そのままになっています。
何しろ40年前の製品ですので、弁装置などはそれほど細密ではありません。
一方、この当時としてはロッド周りが金属なのは珍しいかもしれませんね。
シリンダが互いに内側を向く、マイヤー式の足回りです。
レタリングです。
約40年前のものですので相応ですが、それでも1962年10月5日の検査?、RBD Dresden、Bw Dresden A などが読み取れますね。
動輪の輪芯はプラです。
成形はシャープなので、赤を塗ってやると良くなると思います。
こうして見るとオーバースケールながら、金属製のハンドレールとノブはなかなか効いてますね。
ちょっと訳あって分解整備することになりました。
車体中央裏側のネジ二本を外すと、簡単に車体が外れます。
Rivarossiの大型円形モーターから前側の台車へ動力伝達し、
前側台車から、後ろ側台車へ動力を伝達しております。
モーターが大型で、車体が小さいため、昔の天賞堂電機と同じこのような伝達方式になっているのでしょう。
この方式は、前台車と後ろ台車で動力が等価とならないため走りが安定しないですが、本機は割と軽く走ります。
台車部品は前後ろで同じものが使われているのですね。
ハンドレールが別付けの金属製品なのは、大分ごついですが、質感と経年劣化には望ましいですね。
一体成型多用に見えますが、
複数の部品を接着しています。
これは意外でした。
1990年代半ばのMIBAのMesse特集号には、車輪の黒染め化などのグレードアップ仕様の予告が出ていました。
当時、Rivarossiは経営が不安定な時期で、その後、Hornbyに吸収されてしまいますので、この仕様が実際に発売になったのかどうか、私は知りません。
それから13年後に縁あってもう1輌入手しましたが、仕様自体は全く同じものでした。
箱や説明書、分解写真を除き、こちらで紹介する写真は後で入手した方です。
なお、価格は後の方が約半額でしたが、こちらのほうが程度が良かったですね。
特異なスタイルの本機ですが、当初の設定通り、Omの石炭列車編成を牽いて楽しみたい機種ですね。
2003年7月27日入線
2018/8/24 記
2020/1/29 写真一部追加、文章再構成の上、再録
2020/5/20 写真全更新、Blogger用に再構成
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