DB103のKleines Modellmuseum Ep. IV

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スイス国鉄 SBB 高性能汎用電気機関車 Re460 020-1号機 "Tilisiter" (HAG 281)

 

  今回はスイスを代表する高性能電気機関車 Re 460を紹介します。

 

 

 Re 460はスイス国鉄がバーン2000計画に従って開発した高性能な汎用電気機関車です。

 

 

  Re 460性能諸元
 バッファ間距離:18,500 mm、運転重量:84 t、軸配置:Bo'Bo'、軸重:21t、動輪径:1,110mm、定格出力:6,100 kW、最高運転速度:200 km/h、設計最高速度:230 km/h

 

 

 有名な工業デザイナーであるピニンファリーナにより、デザインされた流麗なスタイル、そして、VVVFインバータ制御による最大300kNの牽引力と230km/hの最高速度、自己操舵台車により半径300mの曲線を104km/hで走行できる高い曲線走行性能を特徴とする強力機であり、通称「Lok2000」と呼ばれています。

 

 

 調達は1987年より開始され、1990年から96年までの間、総計119輌が製造されました。
 この数字はスイス国鉄の新型電機としてはRe 4/4IIの276輌に次ぐ第二位です。
 ちなみに3位はAe 6/6 118輌、第4位はRe 450の115輌、そして5位は、KATO製品で有名な強力電機Re 6/6は89輌となります。
 また私鉄BLS鉄道が、ほぼ同一形態でより強力なRe 465を18輌製造しました。

 

 

 Re 460は優秀な性能を発揮しましたが、価格が非常に高いことがネックとなり、期待された輸出も採用国が少なく、また複電現タイプや6軸機は実現されませんでした。
 スイス国鉄及びBLSでは後継機としてより安価なボンバルディアのTRAXXシリーズを採用しました。

 

 

 別体のワイパーがすごく良い感じです。 

 

 Re 460の特徴として、側面が広いことから、全面及び部分広告機が多数、誕生しました。
 こちらの020-1号機もそうですが、全61輌に延べ100種類以上の広告塗装がなされたそうです。

 

 

 なお本機は計画当初、Re 4/4 VI 10701~でしたが、実際にはRe 460 000-3~となりました。
 これを受けてか、こちらの020-1号機も、側面下の型式標記は、Re 4/4+改行、Re 460 020-1と記載されているのが、面白いですね。
 それ以降の生産品では、例えば、Re 460 108-4のように記載されております。

 また119輌のうち、機体名を持つ機関車が相当あります。
 ちなみにこちらの020-1号機には特に名前はないようですね。

 

 

 

  Re 460は2階建てIC 2000系客車、あるいはEW-IV、UIC-Zとの組み合わせで200km/h運転を行っていますが、以前はもっと古いEW-IIなどとの組み合わせもありました。
 面白いのはIC 2000、EW-IV共に推進運転を行っていますが、この制御客車がRe 460と同じ顔になっています。
 貨物列車では、その強力なパワーを活かし、ゴッタルド峠越えをはじめ、スイス全土で単機または重連で貨物列車を牽引しました。

 


 2000年からは096-118号機が無線遠隔制御による重連総括制御システム対応に改造され、識別のためにRef 460となりました。
 これは、勾配線区における推進機として、貨物列車の編成途中に無人の機関車を連結し、無線で操縦するものであり、Re 620にも同様の改造機があります。
 模型でこれを再現するのは脱線の可能性がありますので、そのためか、ROCOから無動力のRe 460が発売されており、カタログにも上記の編成が出ていましたね。 

 

 

 2004年にスイス国鉄の旅客・貨物部門が分離した際には000-078号機が旅客会社に、079-118号機が貨物会社の所属になりましたが、その後に全機がスイス国鉄の旅客会社の所属となったため、残念なことに、現在では貨物列車の牽引は行っていないそうです。

 以上、Wikipedia 日本語版 「スイス国鉄Re460形電気機関車」 より、引用、参照させていただきました。

 

 

 それでModellbau-Wikiによりますと、HOのRe 460は、Märklin/TRIX、ROCO、HAGの三社から発売されております。
 同情報では、初回製品の正確な発売年がわかりませんでしたが、私の記憶では、ROCOは1993年の発売と思います。
 早くも同年のスワップミートで飾っている方を見ましたので。
 羨ましかったですね。
 同じ頃発売になったのが、1993年のMärklin/TRIXで、その次に出たのが、1996年に発売されたこちらのHAGです。

 

 

 Re 460について言えば、特徴的な形状をしていることもあり、三社とも実車の感じをよく把握しており、大変良く出来ているように感じます。
 なおROCOはプラ車体、Märklin/TRIXとHAGはダイカストです。
 ROCOの成型は大変シャープですし、Märklin/TRIXやHAGのダイカストも、これまたシャープです。
 Re 460のような平面にリブのある車体にはダイカストが合っていますね!!

 ROCOはカルダンドライブ、後二社は伝統ある台車モーターです。

 

 

 それでHAGですが、そうですね。
 いかにも新世代のHAGらしい製品と言えると思います。
 まずスケールですが、Re 4/4I(Re410)までのオーバースケール (約1/82) とは異なり、Re 4/4II (Re 420) と同じフルスケール 1/87となっています。

 


 

 ダイカストのワンピースボディにシャーシーが組み合わさっておりますが、ご覧のように隙間などまったくありません。
 Re 460には細かいディテールがないので、ダイカスト向きですね。
 でも、屋上のパンタ収納部など、大変良く出来ています。
 これだけの高級品ですので、Re 4/4II (Re 420)やRe 6/6 (Re 620)はバックミラーが印刷なのが惜しまれるところでしたが、Re 460は畳んだ状態でモールドされております。

 

 

 残念ながら屋上のアンテナが欠品でしたが、この部分はどうなっているのかよくわかりません。
 別付けのアンテナパーツがありますが、大きさがやや異なるような気がしますし、取付穴は空いておりません。

 HAGが他社に勝っているのが、ワイパーです。
 ここはプラの別付け部品にしたおかげで、遥かに勝っていますね。
 また私のはやや傷がついているようにも見えますが、窓ガラスの透明度が高く、また縁の黒が薄く透けていないのがいいと思います。

 一方、ダミーのスカートは確か含まれていなかったのは残念です。

 カプラーは時代的にNEM 362ポケットになっていますが、伸縮機能はありません。

 

 

 Re 460は各社とも分解しやすいのが特筆されます。

 大概分解しにくいROCOは、本製品に限ってはバッファを抜くだけでボディが分離しますし、HAGはネジ1本、Märklin/TRIXはネジ2本で分解できるのは、大変優れていると思います。

 

 

 HAGの動力は奇をてらったところのない、Märklin/TRIXと同様の伝統的な台車モーター、一台車駆動です。
 全駆動ギアが金属製ですので、お世辞にも静かではありませんが、走行自体は軽く、また力に不足は感じません。
 ただし、伝統的な円形モーターですので、DCC化される際には、デコーダーを選ぶ必要があります。
 BEMFは出来るだけOFFにしないと、ギクシャクしてしまうと思いますので。

 

 

 前照灯/尾灯は電球です。
 四灯装備しており、前照灯2灯、尾灯1灯が点灯します、
 私のもやや明るさにばらつきがある他、こちらもDCC化には不利ですね。

 

 

 写真では少しわかりにくいかもしれませんが、車輪はその色から、伝統の銅製と思います。

  

 

 こちらの020-1号機は、"Tilsiter" チーズの広告機です。

 チーズと言えば、スイスの特産品で、それこそ地域により、実に様々なチーズがあるようですし、何よりも側面のチーズの絵を見ればすぐに分かりますよね。

 でも……、Tilsiter ……、どこかで聞いた名前と思い、調べてみました。

 そうなんです。

 Tilsitとは、1945年にロシアに占領されてしまった東プロイセンの小都市の名前です。

 それが、スイスチーズとどのような関係があるのかというのは、こちら をご覧下さい。

 

 

 ところで、HAGのRe 460は、私にとって憧れの製品でした。

 当時のHAGと言えば、その他のメーカーとは完全に一線を画した高級品としての存在であり、特にBDe 4/4以降のフルスケールシリーズは優に5万円を超える、簡単には手の出ない代物でした。

 Re 460は確か1995年頃、天賞堂で赤を見せてもらったことがあります。

 その時の価格は、記憶は定かではないですが、67,000円じゃなかったかな。

  内外価格差が大きい時代でしたが、ROCOのRe 460は25,000円しないで買えた時代です。

 当時の普通以下のサラリーマンにはなんとも荷の重い存在でした。

 

 それで、こちらを入手したのは2003年のことになります。

 まだ開店したばかりのラディッシュで買いました。

 なぜかRe 460が何台かあり、その中で一番安いものを買ったのです。

 理由として、一部色はげがありましたね。

 それでも、25,000円もしたんですよ。

 まだ欧州型の中古の価格が暴落する前でしたので。

 本当は赤が欲しかったのですが、欧州と違って、日本は原型色が最も人気があります。

 勢い、価格もすごく高くなってしまいます。

 

 しかし、それから幾年月、デジタル充足のためのHO整理の中、本機も処分しようと思いました。

 でも……、赤はともかく広告機(特に初期の広告機)には、全然値がつきません。

 ROCOやMärklin/TRIXなど、本当に気の毒と言えるほど、かわいそうな価格まで下がってしまいます。

 それは高級品と呼べるHAGでも、それほど変わったものではありません。

  私はEGSで、2万円しないHAGの広告機さえ見たことがありますので。

 

 HAGはスポンジが経年劣化しますので、本機は大きな箱にプチプチで包んでしまってありました。

 そこで先日取り出して、眺めてから、走らせてみたんです。

 そしたら、何か二束三文で売るのがもったいなくなって。

 結局、取っておくことにしました。

 

 上記のように、Re 460は各社ともよく出来ていて好きですが、HAGの質感とワイパー、そしてうるさいながらも確実な走りは、2万円以下で売るのは、なんとももったいない気がしましたので。

 

2003年1月12日 入線

 

2020/5/11 記

 

 

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